事業承継の際の設備関係
今回は親子事業承継の際の設備に関してまとめてみました。
- 設備の引き継ぎ方と税金
設備の引き継ぎ方としては「売買」「賃貸」「贈与」が考えられ、それぞれによってかかってくる税金が違ってきます。主な内容としては下記のとおりですが、現在の税金負担だけでなく、将来の相続等も見据えたうえで考える必要があります。例えば、現在の税金負担では「賃貸」が有利であるが、将来の相続時の税金や争い回避のためには、事業承継時に「売買」や「贈与」によって子先生のものにしておくというのも1つの考え方です。
■「売買」
(親先生)売却益に対して譲渡所得税、消費税課税事業者の場合は売却金額に対して消費税
(子先生)購入設備が資産計上、減価償却費として経費化され、また償却資産税の対象となる。
■「賃貸」
〈生計が別の場合〉
(親先生)受け取った賃料に対して所得税
(子先生)支払った賃料が経費
〈生計が一緒の場合〉
(親先生)受け取った賃料は収入金額とならない
(子先生)支払った賃料が経費にならない代わりに、その資産の償却資産税や減価償却費等が経費となる
■「贈与」
(親先生)特にかかってくる税金なし
(子先生)贈与された設備の価値に対して贈与税
- 設備投資
事業承継は設備関係を見直す1つのきっかけとも言えます。
まず、古くなったものや不要なものについては、通常は子先生の負担で買い替えや処分を検討します。
また、スペースに余裕があり、より患者数が見込める場合(現状では予約が取りにくい状況の場合等)などはユニットを増設するのも1つです。ただし、ユニット増設とセットで考えなければいけないのがスタッフの確保です。ユニットを増設してもそれに対応できる歯科医師や歯科衛生士がいないとなると、需要はあるのに結局予約を入れられず、稼働率が悪くなって設備投資額を回収できないといった状況になりかねません。
よって設備投資する際は、それを有効的に使える人員がそろっているかどうか、増員が必要な場合はその人件費も含めて資金的に大丈夫かどうかも考えたうえで進めることが重要です。