スタッフ退職時の手続き
スタッフが退職する際、欠勤が続いたのち、そのまま出社せずに退職の連絡がある場合や、無断欠勤からそのまま音信不通になるような場合もあるでしょう。
このような場合は、どのように退職の手続きすれば良いのでしょうか。
● 雇用保険、厚生年金、健康保険などの社会保険や給与の手続き
手続のために退職日を確定させる必要があります。
・本人から日付の申し出があった場合…本人の指定した日
・退職の申出のみあった場合…その申出(連絡)のあった日
・音信不通の場合…無断欠勤が14日(医院の就業規則による)となる日
なお、退職日に関わらず、最後の給与は出勤した日数に応じて日割りで計算することになります。退職した従業員についても、通常の締め日で給与計算して支給している医院が多いと思いますが、法律上は退職者から請求があれば7日以内に支払う必要がありますので、留意しておきましょう。
● 貸与物品や私物の扱い
制服や鍵など貸与物品がある場合に、返却されないのであれば本人に費用を請求したい医院もあると思います。正規の金額であれば費用の請求をすることは法的に問題ありませんが、給与から勝手に天引きすることはできません。給与を手渡しにするから取りに来てもらいその場で精算する、ということは可能ですが、そもそも出社せずに辞めるスタッフに医院に来るよう伝えることが、あまり意味が無いように思われます。私物は、本人へ期限を決めて取りに来るように伝えるか、本人の了解を得て着払いで郵送することが多いでしょう。
以上のことからすれば、医院の鍵やセキュリティのカードなどは試用期間終了後など勤務が継続することが確定してからの貸与の方が良いでしょう。
● 退職代行サービス
退職代行サービスを利用した従業員の退職を経験された医院もあるかもしれません。退職代行サービスとは、従業員の代理人として医院に退職の意思を伝えたり手続きを行う業者のことです。この場合、業者にどのように対応すれば良いでしょうか。
院長としては本人から退職の相談や意思表示が無いというのは不本意で不満もあると思います。ただ、代行サービスを使って退職するという意思を伝えてきた時点で、本人との信頼関係は崩れてしまっていますので、速やかに手続きをして次の採用に向けて労力を割く方が良いでしょう。なお、退職代行サービスはあくまで本人からの連絡を取り次ぐだけですので、弁護士のように交渉等を行うことはありません(非弁行為に該当します)。粛々と退職の手続きを進めるのが良いでしょう。