小規模企業共済・iDeCoを利用した節税と資産形成
歯科医師にとって節税と資産形成の両方ができる制度として、小規模企業共済とiDeCoがあります。今回はこの2つの制度の概要と違いについてご紹介します。
《小規模企業共済》
小規模企業共済は、個人事業主等のための、積み立てによる退職金制度です。月々の掛金を1,000~70,000円まで500円単位で自由に掛金を決定できます。さらに、支払った掛金の全額が所得控除の対象となり、所得税と住民税が軽減されます。共済金の受け取り時も退職所得扱いになり、税制優遇されています。小規模企業共済は掛金の前納が可能で、翌年12ヶ月分の掛金を一括で前払いすることで、最大84万円の所得控除を受けることができます。
《iDeCo》
iDeCo(個人型確定拠出金)は、私的年金制度の一つで、任意で掛金を決定し、積み立てていくことで、60歳以降に一時金を受け取ることができます。この制度も支払った掛金は全額が所得控除の対象となり、所得税と住民税が軽減されます。さらに積み立てたお金は、投資信託等で運用し資金を増やしていきます。その運用により得た利益は課税されず、一時金の受取の際も税制上の優遇措置が講じられています。
2つの制度の違いとして、まず積み立てた資産が受給可能となるタイミングがあげられます。iDeCoは原則途中解約ができないのに対して、小規模企業共済は、途中解約が可能であり、加入期間が12ヶ月以上であれば、加入期間、掛金に応じて解約手当金を受け取ることができます。
次に、受け取る金額について、iDeCoは自分で選んだ運用商品で掛金を運用できる反面、商品によっては元本を下回る可能性があります。小規模企業共済については、掛金納付月数が240か月(20年)未満で任意解約をした場合には、解約手当金が掛金合計額を下回ってしまいますので注意が必要です。
また、小規模企業共済には、貸付制度があり、掛金の範囲内で、低金利・即日貸付けが可能です。
このような違いから、まずは小規模企業共済から始めるのをおすすめします。資金に余裕が出てきたら、2つの制度の併用も検討していきましょう。