売上が増えているのに資金繰りの苦しい理由
クリニックを運営していく上で切り離せないのがお金の悩みです。
では、なぜ資金繰りが苦しくなるのでしょうか?
理由としては3つ考えられます。
1つ目は、歯科医院の売上のタイミングと入金の違いが挙げられます。
会計処理上、治療が完了したタイミングで売上を認識するのですが、実際に手元に入金すのはいわゆる自己負担分(3割)で、残りの7割については2か月後に入金となります。
帳簿では100万円売り上げているのに、手元には30万円しかないとなると、売り上げがあるのに資金が苦しい、ということになります。特に、開業直後は、診療報酬の入金があるまでは、基本的にお金はどんどん減っていきます。通帳の残高を見ていると不安になる方もおられるでしょう。
2つ目は、一定の固定費がかかる、という事が挙げられます。
売上がまだ少ないうちでも、クリニックに患者が来る限り一定の材料や消耗品の在庫をストックする必要があります。また、家賃やスタッフの給料も毎月支払わなければなりません。
売上の増えるペースが緩やかであれば、その間にも経費はどんどん出てしまうので、資金が枯渇する可能性があるでしょう。
売り上げの多い少ないに関わらず、家賃や人件費、リース料等は毎月支払いがあります(いわゆる固定費)。収支分岐点に達するまでは、毎月お金は減っていきます。
3つ目は、生活費・個人的な支出が把握できていない可能性はないか、という事です。
法人化している場合には、基本的に毎月定額の給料になりますが、個人事業主の場合、医院のお金を良くも悪くも好きに引き出して使えます。
クリニックのお金と、プライベートのお金を分けられていない場合には、知らず知らずのうちに使ってしまって、気が付くとお金が無いという可能性が考えられます。
個人事業主の場合でも、毎月の生活費を設定し、医院口座から生活費口座へ資金移動することをお勧めします。また、教育費や余暇のお金など突発的な支払いや普段より多くの資金が必要なときも、きちんと資金移動していれば、いくら生活費に使用したか把握することができます。
また、クリニック運営に最低限必要な資金を残して、全て生活費用口座に移して上で、投資や貯蓄に回す(生活費として取れた範囲内で投資等を行う)、という方法もあり得るでしょう。