承継の流れの中で検討するもの
事業承継については過去に税務的な手続きや承継時の注意点についてお話してきましたが、今回は実際に譲る際にどのようなスケジュールで承継を行うかについてお話します。
①承継者探し
親子承継の場合は既に承継先が決まっているため関係ありませんが、第3者承継の場合はまず相手を探すところから始まります。
知り合いの伝手がなければ、M&A専用のマッチングサイトや業者を通じて探すことが多いです。
その場合もすぐに決まるということは珍しいと思った方が良いでしょう。
よって業者1社だけでなく、取引のある銀行や税理士に相談して幅広く探すことでマッチングしやすくなります。
②承継するものの選定
例えば親の代から続いてきた場合、「医院はそのまま使ってもらいたい」「スタッフも長年働いてもらっていたから、そのまま雇用してほしい」など色々な要望が出てくることでしょう。
しかし自分の希望だけ述べても相手が納得しなければ意味がありません。
自分の希望は出すけれど、ある程度妥協できる項目を事前に把握しておき交渉に臨みましょう。
このタイミングで承継日を決定しても良いかもしれません。
③承継金額の決定
金額については1人で考えるよりは、複数の専門家に意見を聞いた方が良いでしょう。
一般的に金額の目安となるものは
・承継時点での資産の時価
・過年度の平均所得の○年分
が挙げられます。
医院はそのままで院長だけ変わるようでしたら、内装工事費用やユニット等の機器を売却として扱います。
正確な時価は算定が難しいので、確定申告書に記載してある減価償却資産の期末帳簿価額を目安にすることが多いです。
所得から計算する金額は、患者を引き継ぐことによるのれん代のようなものです。
何年分なのか明確に定まっているわけではないので、税理士等の専門家に相談しておきましょう。
承継には人、物、金を動かさないといけないためすぐに決まるようなものではありません。
病気やけがのような緊急事態以外での承継でしたら、承継を考え出し始めたころから情報収集を行った方がスムーズに進められる可能性が高くなります。
もちろん全般においてトラブルを避けるため、信頼できる人から助言をもらったり色々相談しながら進めると良いでしょう。