就業規則は必要か
医院を開業し、スタッフを雇用した場合に、就業規則を作成しなければならないのでしょうか。
法律の観点からいえば、常時10人以上の従業員を使用する場合には就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署に届け出る必要があると、労働基準法に規定されています。
つまりスタッフが10人いなければ、法律的には就業規則の作成は必要ありません。
就業規則には有給の規定など、スタッフの権利の記載の印象があるため、「作成不要ならば作成しないほうが良いのでは?」と考えるかもしれません。
しかし就業規則には、スタッフとのトラブルを防ぐ効果があるため、作成義務がなくても作成しておくことが望ましいです。
では、どんなときに就業規則が効果を発揮するのでしょうか。例えば次のようなことが挙げられます。
①スタッフ同士の不公平感の解消
就業規則がない状態では、医院での決め事は院長の裁量によって決まることになります。
院長にそんなつもりがなくても、スタッフ毎に違う対応をとってしまい、不公平を感じてしまうスタッフも現れてしまうかもしれません。
就業規則では、給与や休暇の規定のほか、遅刻早退の取り扱いや服装の規定など様々なものを定めます。
医院でのルールを具体的に決めておき、明確化しておくことで、スタッフが不公平を感じることを軽減することできるでしょう。
②スタッフの無断欠席が続いた場合
スタッフの無断欠席が続き、連絡も全く取れない場合、退職と扱っていいのかどうかわからなくなる場合があります。
就業規則がない状態で、医院の判断で退職とした場合に、不当解雇とされ裁判沙汰となる可能性もあります。
就業規則の中で、無断欠席が続いた際の懲戒の規定を設けることで、こういった問題を防ぐことができます。
このように就業規則の作成しておくことが、トラブル回避につながっていきます。
就業規則は医院に合ったものを作成することが大切です。
ただし、どんなものでも認められるわけではなく、一定の形式を守る必要があります。記載内容としては、絶対的必要記載事項というものがあり、必ず記載しなければならない事項が決められています。
もちろん法令に反する内容でもいけません。
どんな内容の就業規則が医院に合っているのか、医院経営の観点から税理士の意見も取り入れつつ、労務関係のプロである社労士と相談しながら作成すると良いでしょう。