就業規則の必要性~従業員数が10人未満の歯科医院~
スタッフが10人以上の場合には、就業規則を作成と労基署への届出が義務付けられています。
では、10人未満の歯科医院の場合、就業規則を作らなくても良いでしょうか?
結論からいうと、開業直後はともかく、遅くとも自分の医院をどのように運営していくか、が定まった時点で作成することをお勧めします。もちろん法律上は、作成義務はありません。
就業規則は、有給休暇など従業員の権利を記載していると理解されがちですが、記載内容はそれだけではありません。
医院を守るための事項も記載されていますし、医院の方針や院長の考えを反映できるものです。
例えば下記のようなケースでは、就業規則が無かったり記載がないと取り扱いに困るようなことがあります。
①スタッフが、突然出社せず連絡も取れない場合
②勤務に必要な物品のうち医院が用意するものと、従業員本人が用意するもの
③退職金の支給
(1)何の連絡もなく仕事を辞めるというようなことは、常識的に許されることではありませんが、残念ながら事案としては一定程度発生しています。無断欠勤が続いた場合に、自己都合退職となるのか、解雇となるのか、決めておかないと事務的な手続きも行うことができません。後で本人から、不当解雇と言われないためにも就業規則に定めておくのが良いでしょう。
(2)制服・シューズなどの物品だけでなく、勤務に必要なものについて、何を医院が用意して、何を本人が用意するかを決めておくのが良いでしょう。また、医院が用意するものは「貸与する(返却するもの)」ということであればその旨も明記しておくのが良いでしょう。
(3)開業当初など、そもそも勤務期間が長いスタッフがいない場合には、あまり考えもまとまらないと思いますが、勤務3年程度のスタッフが揃ってくれば、退職金規定を検討するのも良いでしょう。金額や支給する勤続年数は、特に法令に定めはありませんので、医院が自由に設計できます。
いくつか例を挙げましたが、医院によって検討しておいた方がよい項目は様々です。実際の作成にあたっては、顧問税理士の意見も取り入れて頂いた上で、労務の専門家である社会保険労務士に作成を依頼されるのが良いでしょう。