医療法人化の注意点
今までも何回か医療法人についてお話をしてきましたが、今回は実際に法人成りする際、した後に気を付けるべきことを中心にご紹介したいと思います。
①社会保険の加入
法人成りをした場合は常勤の理事、正社員は社会保険に加入しないといけません。(歯科医師国保に加入している場合、厚生年金のみ加入)これについては以前のコラムでもご紹介しているので参考ください。
https://e3-partners.com/clinic/column/cat02/666/
②決算届の提出
法人も決算を迎えると2カ月以内に確定申告を行うのですが、医療法人はそれに加えて事業報告書を、所在する都道府県の保険機関に提出する必要があります。財産目録等に加えて監事の監査報告書の提出も必要です。期限は決算日から3カ月以内となっていますが、提出物等は都道府県や業種ごとに異なってくるのでホームページを確認しておきましょう。
③個人で取得した不動産の扱い
法人成りしても個人時代に購入したユニットやCTなどの機材、医院の土地建物は勝手に移行できません。この場合法人がこれらの資産を使えるようにするには2パターンが考えられます。
A.個人が法人へ資産を売却する
B.個人が法人へ資産を賃貸する
Aは売却後変わらず使用することができますが、個人に所得税がかかる可能性があります。
Bは名義変更を行わなくて良いメリットがありますが、賃料を法人からもらうので個人で確定申告が必要になります。また、相場以上の賃貸を行うと保険局からの調査がある可能性があります。
④法人の純資産
通常の法人は解散する際に残った資産を株主に配当しますが、医療法人には株主という概念はないので配当自体ができません。そのため解散時に財産が残ると、それらは国のものになってしまいます。医院が繁盛することは良いことですが、終わり方を考えておく必要があります。