コロナ禍における開業
新型コロナウィルスの問題が出てきてから半年以上。現在もまだ収束の見通しがたたない状態が続いています。このような状況下、新規開業を進めていいものかどうか悩まれている先生も多いのではないでしょうか。
そこで今回はこのコロナ禍における開業の注意点、特徴を取り上げたいと思います。
1.スケジュールは余裕をもって
従来、具体的に動き出してから開業までの期間は、最短でテナント開業は6か月、戸建て開業は1年ぐらいが一般的と言われてきました。しかしコロナ禍においては、下記の影響によりスケジュールのずれ込みが多くなると思われます。
- 会って話し合うということがしにくい状況であることによって、打合せがスムーズに進まない
- 工事も3蜜を避ける体制のため、期間が長くなる
- 口腔外バキュームや滅菌器など、特に感染予防にも関係する機器等が品薄で、購入・設置までに時間を要する可能性がある
- 営業時間短縮等により、業者や役所の処理スピードが遅くなる
また、今後の状況がどうなるか予測不可能であり社会活動についても不透明なところが多いため、開業予定日を決めてもそれに間に合わないといったリスクは以前にも増して大きくなっていると思います。よって、状況をみながら余裕をもったスケジュールで進めていくことが重要となります。
2.物件は掘り出し物がある可能性あり
このコロナ禍においては、社会活動の低迷により倒産や撤退で空きテナントが出たり、新規テナントへの申込者が少なくなるといったことが考えられます。よって逆に今までより好条件の物件が見つかるかもしれません。
またテナントの場合、貸主側からしていれば、この状況下では少しでも家賃収入が欲しいというのが心情だと思いますので、空室の状況が続いているような物件では、家賃交渉することによって家賃や保証金を下げてもらえる可能性は大いにあると思われます。
3.業者にもより良い条件で交渉可能かも
コロナ禍による経営への圧迫は、歯科業界においても例外ではありません。大型投資をしばらく控える歯科医院も多いのではないでしょうか。よって、このような状況下では業者側としては何とか購入してもらいたいという心理が働くことから、通常よりもより良い条件で購入やサービスを受けられる可能性があるといえます。
4.スタッフ雇用にもチャンスが
コロナ第1波の時は、誰しもすべてが初めての経験であり、とりあえず様子見ということで人材の動きもあまりない状態でしたが、緊急事態宣言が明けて社会活動が再開されてからは、少し状況が変わってきているように思われます。
雇う側は経費削減として人件費や雇用状態の見直しを図る一方、雇われる側もより良い条件の職場を探すといった動きが少しずつ出てきているようです。よってそういった意味では一時期より採用がしやすい環境になっているともいえ、優れたスタッフを採用できるチャンスも多いということになります。
傾向としては、「スタッフ自身としても医院の感染対策が不十分と感じる」「院長のコロナへの対応に不満がある」といった場合には転職に繋がりやすいようなので、そのあたりの対応をしっかりやればスタッフ確保にも繋がることでしょう。
コロナウィルスに関しては依然先が見えず不安定な状態が続いているため、開業を躊躇する先生も少なくないと思います。しかしそんな状況においても上記のようにうまく進めていけばピンチをチャンスに変えられる可能性も大いにありますので、専門家に相談しながらぜひともチャレンジをしていっていただきたいと思います。