失敗から学ぶ新規開業事例
今回は、新規開業の際の失敗事例を紹介いたします。
①立地
ある地方でのテナント開業。駅前の立地ということもあり特に患者用駐車場の確保を考えなかったが、実際開業してみると車社会の地域であり、駐車場完備でない点は弱みなり、新患が増えなかった。
→ 開業するにあたって立地はとても重要です。事前に診療圏調査をすると思いますが、それだけではなく実際に現地に行ってその地域の特性を見るのも大切なことです。その地域の医院はどういった形態が多いのかを調べてみるのもいいかもしれません。ちなみに当医院の先生は、駅前ということもあって家賃も高く、収支をプラスにするのは難しいと早々に判断し、開業1年後に別のところへ移転しました。最初の内装工事等の投資は無駄になってしまいましたが、移転後の現在は順調に患者数を増やしています。
②スタッフ
できれば安定的に長く勤務してくれるスタッフをそろえたいということで、オープニングスタッフを全員常勤正社員でそろえた。しかし正社員となると社会保険の負担もあり、また売上の増減にかかわらず全員月給支払なので、結果的に固定的な人件費負担がかなり重くなってしまった。
→ 正社員が多いスタッフ体制となると、どうしても人件費の負担が大きくなってしまいます。安定してからはそれでもいいかもしれませんが、初期のそれほど予約が入っていない場合には人が余っているといった状態にもなりかねません。できれば全員正社員ではなく、シフトや時間の融通がきくパートタイマーも組み合わせて雇うといいでしょう。パートタイマーが多くなると管理は大変になりますが、社会保険加入不要という場合も多いため、資金的負担を軽減することができます。最近は正社員の数よりパートタイマーの数の方が多い医院も増えているようです。
③レイアウト
開業当初あまり資金的に余裕がなく、また矯正等もする予定がなかったため、機器は最小限のものを購入し、レントゲン室もそれに合わせた広さにした。しかし数年たつと地域的にも矯正の需要が高くなり、また診療上の利点からCTを購入することになったが、レントゲン室の広さが足りず、結果的に拡張工事をしなければならなくなってしまった。
→ 工事の必要なレイアウトやチェアの配管の数は、開業後に変更をするとなるとその間休診しなければならない場合もあり、またコストも高くなるケースが多いです。開業資金は限られていますのでなかなか難しいですが、目先のことで判断せず色々な将来の可能性も加味して医院設計することも重要です。