歯科医師の生命保険
開業医は勤務医とは違い、労災保険や失業保険に加入できないため、先生が万が一亡くなったときや、ケガや病気で働けなくなったときに備えて、資金を準備しておくと安心です。すべてを手元資金で解決するのは難しいので、いくつかのケースを想定し、医院やご家族を守るために生命保険を活用することをお勧めします。
● 先生が亡くなられたときに備える保険
①医院の借入返済のための保険
収入保障保険と呼ばれ、開業の際に一番初めに検討すべき保険がこちらです。開業時には金融機関から融資を受けるケースが多いですが、もし返済の途中で先生が亡くなられた場合には、ご家族が借入を引き継ぐことになります。ご家族に負担をかけないよう、借入残額に合わせて生命保険金を設定した保険に入っておくと安心です。融資を受ける際の条件として、金融機関から加入を提示されることも多いです。
②ご家族の生活費・教育費に充てる保険
先生が亡くなられた場合に、ご家族が生活を維持していくために必要な資金を備えておくための保険です。ご家族が将来働いて得られる収入額を想定し、現在の生活水準を維持するための生活費や、お子様がいらっしゃる場合は将来の教育費に不安がある場合は、その補填のために保険に入っておくと安心です。月々の保険料が少ない掛け捨ての定期保険や、保険料負担は少し増えるものの貯蓄性がある養老保険や学資保険など、ご自身の状況に合わせた保険を選ぶとよいでしょう。
● 先生が病気やケガで一時的に働けなくなったときに備える保険
①休業した際の医院の経費の支払いに備える保険
休業保障保険、就業不能保険などと呼ばれる保険で、先生が病気やけがで一時的に診療ができなくなった場合に保障が受けられます。診療を休みにしても、家賃の支払いや借入返済を止めることはできません。また、休業している間のスタッフの給料をゼロにしてしまうと離職されるリスクもありますので、給料の支払いも止めたくはありません。これらの月々の支払いに足りるような保険金を設定できると安心です。
②先生自身の治療費や生活費を保障する保険
休業している間は先生の収入が一時的になくなるため、生活費や医療費を支払うためには別途資金が必要です。療養期間や入院日数に応じて保障が受けられる医療保険などに入っておくと安心です。
上記の保険を検討しておくことで、先生に万一のことがあった場合でも、資金面での不安は減らすことができます。また、支払った生命保険料は、確定申告の際に最大12万円まで所得から控除することができるので、税制面でもメリットがあります。