休暇・休業制度
今回は、有給、産休、育休、介休、病休、休業手当についてご説明します。
◆年次有給休暇(有給)
年次有給休暇とは、労働者の心身の疲労を回復させることを目的として付与される休暇のことで、取得をしても賃金が減額されない休暇のことをいいます。有給は、正社員はもちろん、パート・アルバイトも対象となります。
- 有給が付与される要件
有給が付与されるのは、以下の条件を満たした従業員になります。
①雇い入れの日から6か月経過していること
②その期間の全労働日の8割以上出勤したこと
- 有給の付与日数
付与日数については、正社員については勤続期間ごとに決まっており、パート・アルバイトについては1年間の所定労働日数ごとに決まっています。例えば、正社員は入社半年で有給を10日付与され、入社1年半経つと11日付与されます。
- 有給取得は拒否できる?
従業員からの有給申請は原則拒否することはできません。事業者が時季変更権を行使し、有給取得日の変更をすることはできますが、行使できるのは複数人が有給を同時取得する場合や特定の知識・技術を持った従業員が休むことで業務遂行が困難になる場合など業務に重大な支障がある場合に限られています。単に忙しいという理由だけでは、この権利は行使することができません。医院の業務に支障が出ない範囲で、従業員の希望通りに有給を取得させるために、医院内で有給申請に関する規則を整えることが大切です。例えば、有給申請は1か月以上前に行うという規則を定めておくと、円滑に有給の承認ができるでしょう。
◆産前・産後休業(産休)
産前産後休業とは、妊娠中の女性が出産に備えて取得する休暇のことです。この休暇は、母体の健康を守り、育児に専念できるように設けられています。産休は法律によって保障されており、産前産後それぞれに休業の期間が定められています。産前は希望により最大6週間取得でき、産後は8週間の休業が義務付けられており、従業員から申請があった場合には拒否することができません。
◆育児休業(育休)
育児休業とは、原則1歳未満の子供を養育するための休業のことをいいます。育休は、子供が1歳6か月になるまでに雇用契約が終了しないことが見込まれる従業員であれば、パート・アルバイトも取得することができ、原則として、子供が1歳に達するまで休むことができます。ただし、保育所に入所できない等一定の場合に限り、1歳6か月まで(再延長で2歳まで)期間を延長することができます。育休は従業員から申請があった場合には、事業者は拒否することができません。
◆介護休暇、介護休業
介護休暇、介護休業は、従業員が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族の介護や世話をするための休暇をいいます。 事業者は、従業員から介護休暇、介護休業の取得申請があった場合には拒否することができません。
取得できる日数は以下のとおりです。
介護休業:通算93日間
介護休暇:年に5日(要介護対象者が2人の場合は年に10日)
◆病気休暇(病休)
病気休暇とは、ケガや病気の療養を目的として取得できる休暇のことをいいます。病気休暇は具体的な法的規定がないため、設けるどうかは各事業者の判断に任せられています。病気休暇を設けるメリットとして、
・従業員が治療しながら働ける環境を整えることで、貴重な人材が退職するリスクを回避できる
・医院の魅力向上に効果的であり、求職者増加につながる
などが挙げられます。
◆休業手当
休業手当とは、雇用主の責任により従業員を休ませた場合に支払わなければならない手当金のことをいいます。休業手当を支給しなければならない主なケースは、①設備、機械の不具合による休業、②業務量減少に伴う休業などが挙げられます。なお、台風や地震等の自然災害の影響により休業した場合には、休業手当は発生しません。
休業手当の金額の最低保証額は
(直前3か月の給料の総額÷直前3か月の労働日数)×60%
となります。