賃上げ促進税制は、従業員の賃金を引き上げることを奨励するための税制優遇措置です。この制度を活用することで、歯科医院も税負担の軽減ができます。本コラムでは、賃上げ促進税制の概要、歯科医院におけるメリットについて紹介します。

〇賃上げ促進税制

賃上げ促進税制は、従業員の賃金を一定以上引き上げた場合、その引き上げ分の一定割合が税額から控除されます。令和6年の改正では、賃上げ促進税制の条件や控除率が以下のように見直され、令和6年4月1日から令和9年3月31日までに開始する事業年度について適用されます。

・税額控除の上乗せ措置

くるみん認定やえるぼし認定取得による上乗せ措置が新設されます。それに伴い、

給与支給額が前年度より1.5％以上増加した場合に、その給与支給増加額の15％から最大で45％まで税額控除することができます。

・未控除額の5年間の繰り越し　

要件を満たす賃上げを実施した年度に控除しきれなかった金額について、5年間の繰り越しが可能となりました。賃上げを実施した年度が赤字であっても、5年間までに黒字になれば、その年度で税額控除ができます。

〇歯科医院におけるメリット

令和6年度診療報酬改定に伴い、歯科医院では従業員の賃金を一定以上引きあげることで、点数の上乗せが実施されます。賃上げ促進税制と合わせて活用することで、賃上げ分の点数の上乗せ分を従業員への給与に充てながら、税負担の軽減を図ることができます。

賃上げを効果的に行うことで、以上のような制度の恩恵を受けながら、従業員の満足度向上にもつながり、医院の発展につながります。