歯科医院での変形労働時間制
(1)変形労働時間制について
歯科医院ではスタッフの勤務時間に関して、週2日休みとしながらも、土曜日は午前診で終わり、一方平日の定休日以外は診療時間と前後の準備や片付けを合わせるとスタッフは8時間以上の勤務になってしまうことがあると思います。例えば、以下の様な勤務時間です。
月曜日~金曜日(毎週木曜日は休診日):午前勤務時間8:45~13:00
午後勤務時間14:00~18:15 合計 8.5時間
土曜日:8:45~13:15 4.5時間
上記の勤務時間の場合、1週間の勤務時間計は38.5時間で40時間を超えていませんが、平日は8.5時間と8時間を超えています。労働基準法にて1日の労働時間は8時間と定められているため、普通であれば平日については8時間を超える部分が時間外労働となり残業代がかかってくることになります。けれども、「変形労働時間制」を採用していれば一定の期間を平均して、1週の労働時間が法定の労働時間以内であれば、1日の労働時間が8時間を超える平日について残業代の支払いの必要はありません。変形労働時間制には、1カ月単位の変形労働時間制と1年単位の変形時間労働時間制がありますが、上記の様な例の場合は1カ月単位の変形労働時間制を採用すれば良いです。1カ月単位の変形労働時間制は、1カ月以内の一定期間を平均して、法定労働時間の範囲内であれば、8時間の労働時間を超える日があっても時間外労働になりません。
(2)1カ月単位の変形労働時間制の手続き
常時使用する労働者が10人以上の事業所(医院)の場合、労使協定または就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。労使協定または就業規則には下記の事項を定めなければなりません。
①対象労働者の範囲
②対象期間及び起算日(例:毎月1日を起算日とし、1カ月を平均して1週間当たり40時間以内とする)
③労働日及び労働日ごとの時間
④労使協定の有効期間
上記の通り、制度導入にあたっては決めなければいけない事項が複雑ですので、まずは専門家にご相談することをおすすめします。