雇用契約の基礎知識
- 労働条件について
スタッフを雇用する際は、募集→面接→採用→雇用契約という流れを取ることが多いですが、労働条件は募集の時点で決めておく必要があります。特に契約期間、就業場所、業務内容、始業・終業の時刻、休憩時間、休日・休暇、残業の有無、給料の計算と支払の方法・支払時期等の重要な項目については、雇用の際に書面で明示する必要があると労働基準法で定められています。どのように記載すればよいか分からない場合は、厚労省が雇用条件通知書のひな形を厚労省HPにアップしていますので、参考にするのが良いでしょう。また、求人広告の内容については他院の求人広告と比較して参考にするのも一つの方法です。
- 残業手当の考え方
「1日8時間まで、週40時間まで」が労働基準法で定められた労働時間で、それ以上に働いた場合は残業手当(通常の賃金の1.25倍以上)の支払いが必要になります。割増賃金の義務が発生するのは1日8時間を超えた場合ですので、例えば1日7時間勤務の条件で雇用したスタッフが1時間残業した場合には、(その週の労働時間が40時間を超えなければ)割増賃金の支給は必要ありません。
- 試用期間中の解雇について
新たにスタッフを採用したときに試用期間を設けるケースは少なくありませんが、試用期間だからと言っていつでも解雇できるわけではないため注意しましょう。労働基準法では、試用期間開始から2週間以内であれば即時解雇が可能とされていますが、試用期間中であるかどうかにかかわらず社会通念上相当と認められる理由が必要です。無断欠勤が多いことや履歴書の虚偽記載、勤務態度が著しく悪い等の事由があり、改善を促しても改善の兆しが見られないような場合には、解雇が可能と考えられます。せっかく雇ったスタッフを解雇してしまうことにならないように、ミスマッチの無い採用活動を行いたいですね。