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店舗併用住宅での開業

2024.07.01
開業をお考えの方
  • ・店舗併用住宅

 店舗併用住宅(自宅兼診療所)は、医院と自宅がひとつの建物になったものです。

1階が医院、2階が自宅という形式が一般的です。

 

  • ・メリット

住宅ローンは、期間が35年金利が1%未満など、事業性の融資に比べてかなり良い条件で借りることができます。テナント開業の融資は15年返済、戸建開業の融資は20年返済が一般的ですので、自宅兼診療所の建築に住宅ローンを利用できれば、毎月の返済額はかなり低く抑えることができます。また、金利も昨今上がってきているとはいえ住宅ローンはまだまだ低い水準です。

例えば、9,000万円を借りた場合、期間15年であれば元金返済は毎月50万円のところ、期間35年であれば22万円程度になります。

 

  • ・デメリット・注意点

自宅兼診療所として住宅ローンでの借り入れを行うには、床面積の50%以上が自宅である必要があります(詳細な条件は各金融機関で要確認)。まずは、その条件を満たせるのかどうか建築会社と打ち合わせ下さい。2Fが1Fより床面積が少ない構造で50%以上の条件を満たせない、というケースも考えられます。

また、医院の必要な床面積からすれば、自宅が広すぎるというケースも考えられます。将来の家族構成も読めない中で部屋数やレイアウトを決めるのは難しく、その後も住み続けるか分からないとなるとグレードもあまり高いものにしづらいと思われます。建築価額も上がる上に、あまり気に入った家でないとなれば、建築する意味がありません。

 住宅ローンでの自宅兼診療所建築は、ある程度そのあたりの生活設計の目途が立っている方に向いた方法と言えるでしょう。

 

  • ・融資のハードルとスケジュール

医院だけでなく自宅の建築についても打ち合わせが必要になり、見積・契約にも時間がかかると思われます。融資の審査は、建物の見積もりがある程度固まらないとスタートできないため、スケジュールに余裕をみておく必要があります。土地の購入からスタートする場合には、全体の予算が固まらないと融資が決まらず土地の決済ができません。売主が待ってくれない場合には、自己資金や親族借入等で土地を買う必要があります。

また、毎月の返済額は抑えられるとはいえ、融資額自体はテナント開業に比して相当に高くなりますので、手元資金に余裕が無い場合には、融資自体が難しいケースも考えられます。