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歯科医院における電子帳簿保存のはじめかた

2024.05.20
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電子カルテ、レセプトのオンライン請求、電子処方箋など、医療分野においても紙からオンライン化が進みつつあります。

医院の保管すべき請求書や領収書も電子化の傾向にあり、その保管については電子帳簿保存法という法律で定められています。

 

電子帳簿保存法は、税金の関係書類や帳簿を電子データで保存することを認める法律です。電子データでの保管は紙での保管に比べて保管スペースや印刷コストの削減になります。また、最近はネット通販だけでなく、通常の取引においても請求書や取引明細をメールやオンライン上で確認する取引が増えてきました。郵便料金の値上げや人手不足の中で今後もその流れは加速するものと思われます。

歯科医院でも、まずは下記の③は義務化されていますので、今年(2024年)から保存をお願いします。

 

電子帳簿保存の書類は3つの区分があり①帳簿など税金関係書類の電子保存②紙で受け取った請求書、領収書のスキャナ保存③電子取引のメールやオンライン上での取引明細をデータで保存、に分けられます。

①は、会計ソフトの設定等で満たすことができます。決算や確定申告の際に受け取っている総勘定元帳をデータで保管することが可能になりますので、保管スペースの問題で電子化したい場合には、会計事務所または会計ソフトメーカーに相談しましょう。

②は、ある程度のスペックのスキャンを用意したりPCでの作業をする時間を確保する必要があります。保管スペースの削減にはなりますが、スキャンの手間と時間を考えると、現時点での優先順位は低いと思われます。また、その領収書等を院長が後日、見返す可能性や頻度からすれば紙を減らしつつ保管を継続する方が現実的のように思います。なお、税務上、領収書請求書等は7年間の保存が必要です。

③は保存の義務がありますので、何の取引が該当するか改めてリスト化し、毎月または年に1回保存するようにしましょう。

 

歯科医院の資料としては、日計表が相当なボリュームになっています。これらはデータでいつでも出力できるのであれば、税務上は印刷しなくても問題ありません。エクセルやCSVで保存することも検討してはいかがでしょうか。

技工士指示書は、技工所へ口腔内スキャナのデータのみ送る場合でも、現行制度では紙で保管が必要なように思われます。