歯科医院開業時のテナント契約
前回のコラムで、医院のテナント選定についてご説明しました。テナントが決まれば、次は契約です。今回は、テナント契約の際の抑えるべきポイントをご説明します。
(1)契約パターン
賃貸借契約には、定期借家契約と普通借家契約の2パターンがあります。
①定期借家契約
期間満了によって契約は終了します。更新はなく、貸主と借主双方で合意できた場合のみ再契約可能です。つまり、貸主が再契約を拒否すれば、借主は退去しなければなりません。また、契約期間満了前に借主の都合で中途解約すれば、残存期間分の賃料等の違約金が発生します。よって、貸主側のほうが優位である契約形態になります。
②普通借家契約
借主が希望すれば、原則として契約は更新されます。正当事由がない限りは、貸主は契約更新を拒絶することはできません。
契約前には、①と②いずれの契約パターンであるかを確認しましょう。歯科医院のテナントとしては①は出来れば避けた方がいいでしょう。
(2)契約時に必要な資金
テナント契約時にはまとまった資金が必要になります。以下の費用が必要になるので準備しておきましょう。
①敷金
賃料の滞納等の債務の担保として貸主に預けるお金。敷引きを差し引かれた残額が契約終了時に返還されます。高ければ家賃の10カ月分以上に設定されていることもあります。敷引きが設定されている場合には、礼金はないことがほとんどです。
②礼金
賃借権を設定したことに対するお礼として支払われる慣習的なもの。契約終了後も返還はされません。相場は家賃の1~2ヵ月分と言われています。
③保証金
賃料の滞納等の債務の担保として備えて貸主に対して預けるお金。償却分を差し引かれた残額が契約終了時に返還されます。敷金と保証金いずれかが設定されていることが多く、保証金も高ければ家賃の10カ月以上の金額に設定されています。
その他、仲介手数料(一般的に家賃1カ月分)、火災保険料、保証料も必要になる場合があるので、テナント契約時にはしっかりと必要資金を把握しておきましょう。
(3)契約締結
銀行融資の目途がついた時点で、契約締結が望ましいですが、他の希望者がいる場合などは即契約が求められることがあります。その場合は、以下のことを心掛けましょう。
①まず申込時に必要な資金は手元のお金で申し込む
②融資が受けられない場合は、申込撤回できるように交渉する
③申込撤回できない場合は、契約破棄した場合に返金されない申込金等をできるだけ少額にしてもらう