分院長が医院を買い取る場合の注意点
医療法人の分院の院長として雇われていたドクターが、その分院を買い取って開業するということもよくあると思いますが、これもある意味、事業承継の1つと言えます。
そのポイントとしては、下記があげられます。
1.その分院を買い取って大丈夫かどうかの検証
院長として雇われている状態でどこまで経営に参加させてもらえていたかにもよりますが、その医院を買い取ってやっていくにあたって損益上(利益がでているか)及び収支上(お金はきちんとまわるか)において問題ないかどうかを、まず確認する必要があります。
院長ですから売上や仕入・技工料などの原価、場合によっては人件費等、おおまかな部分の損益は把握できているかもしれませんが、実際には例えばリース料など実感があまりない費用というものがあるのも実状です。
医療法人としては医院別の損益・収支を管理しているところが多いと思いますので、まずはその医院単独の損益がどうなのかを確認してみましょう。
2.引き継ぐ資産と負債、売買価額の交渉
分院を引き継ぐということは、医療法人から医院を買い取るということですので、その価額が非常に重要となります。
そのためにはまずはどの資産・負債を引き継ぐのかを確認し、後々トラブルにならないようきちんと契約書に明記することをおすすめします。
また、買取金額や引継ぐ資産・負債が確定すると、それらを買い取って開業するための必要資金がわかりますので、その資金調達の検討に入ります。
融資が必要な場合は早めに金融機関にご相談にいくといいでしょう。その時は、できればその医院の今までの損益実績をもっていくと新規に開業する時よりも話が早く進むケースが多いです。
3.既存のスタッフをどうするかの検討
医院の見た目はそのままかもしれませんが、雇い主が変わるので、今までのスタッフをどうするかも重要な問題です。大体そのまま引き継ぐケースが多いですが、雇用契約の結び直しになりますので、給与、社会保険など条件をどうするかの検討、話し合いが必要となります。
また、既存のスタッフが残らない場合や足りない場合は、新規募集の必要がありますので早めに対策を考える必要があるでしょう。
4.患者への対応
分院をそのまま引き継ぐ場合、医院の外見としてはそのままのケースもあるため、患者さんにはわからないことが多いです。
しかし、実際は医院の開設者が変わりますので、患者さんへ渡す領収証や契約書などの名前も変更することになり、また医院名自体も変えるケースもありますので、患者さんへもきちんと説明する必要があるでしょう。
以上がおおまかなポイントですが、どれも先生ご自身だけで進めるには大変な部分も多いと思います。時間的にもまた情報・知識的にもよりスムーズに進めるためには、専門家に相談しながら進めることをおすすめします。