専門家の業務範囲
歯科医院が関わる専門家(士業)について、その業務範囲を解説します。
何かを依頼するときに、誰に頼めば良いのか?の参考にしてください。
なお、「独占業務」は業として行うことを認められている、という意味ですので、院長や医療法人が自分達の手続きを行う場合は当然問題ありません。本人が手続するのが大原則で、専門家に頼んでも良い、ということです。
(1)税理士
専門分野は税金の申告です。税務相談や税務調査の対応は税理士の独占業務で、無資格者は無償でも行うことが禁止されています。
(2)公認会計士
上場企業や病院の監査が専門分野です。公認会計士は、税理士の登録も可能なので、税理士登録している会計士は税理士の業務も行えることになります。
(3)弁護士
法務が専門分野です。裁判所への書類作成や訴訟の代理人を務めます。また、訴訟にならずともトラブルが生じた際の、交渉を代理で行います。顧問契約されている歯科医院もあるとは思いますが、多くは、トラブルが生じた際に保険医協会や歯科医師会から紹介を受けて相談されているように思います。何かあったときに相談できる方がいる方が安心でしょう。
(4)社会保険労務士(社労士)
労務が専門分野です。労働基準監督署やハローワークへの書類提出、就業規則や賃金規程などの規定整備、労働紛争などの解決が守備範囲です。
最近は人事労務系の助成金が多いので、社労士と顧問契約したりスポットで依頼している歯科医院が大半のように思います。労務トラブルに備えて、開業時から社労士が関与して規定関係を作成するケースも増えています。
(5)司法書士
法務局への登記が専門分野です。土地や建物を取得したときに依頼することになりますが、銀行や不動産業者が手配することが多く、特定の司法書士に継続して依頼しているケースは稀です。
ただし、医療法人の場合、役員の登記が2年ごとに必要で、医療法人の資産額の登記も毎年必要です。登記は司法書士の独占業務で、司法書士しか行うことができません(※)。忘れがちですので、継続して依頼する司法書士を見つけておき、登記が必要なタイミングで連絡してもらうのが良いでしょう。
※弁護士も司法書士業務を行うことができます。
(6)行政書士
行政へ提出する文章の作成が専門分野です。歯科医院の場合、医療法人の設立の際に依頼されることがあるように思います。
(7)中小企業診断士
経営の診断と経営に関する助言が業務範囲です。経営コンサルタントの中には、中小企業診断士の資格を持っている方も多いと思われます。歯科医院の経営や運営のアドバイスをするという意味では、税理士や会計士と似た位置付けといえます。
いかがでしょうか。
あまり馴染みのない分野は、誰に相談して良いか分からない場合が多いですね。
多くの歯科医院は顧問の税理士や社労士がいると思いますので、どちらかに聞けば誰に依頼すれば良いかの判断が可能と思います。